行政書士試験 · 基礎法学

裁判員制度:参加する事件・選ばれる人・辞退を分ける

裁判員制度:参加する事件・選ばれる人・辞退を分ける|行政書士試験・基礎法学

国民が裁判官と刑事裁判に参加する仕組みを六つの箱で整理

裁判員制度は一定の刑事事件について、国民から選ばれた裁判員が裁判官と判断する仕組み。原則の人数と例外、18歳以上という年齢と選任資格、職務に就けない事由と辞退の違い、評決と秘密の取扱いを確認する。

読む目安18分 · 確認問題8問 · 法令等の確認日

AI制作・根拠照合済みの学習用草稿

2027年度の試験日・法令基準日は未公表。2026年10月23日に一次資料を確認したAI教材草稿であり、専門家監修の認定ではない。受験年度の公示後に再照合する。

この記事でわかること

裁判員制度は一定の刑事事件について、国民から選ばれた裁判員が裁判官と判断する仕組み。原則の人数と例外、18歳以上という年齢と選任資格、職務に就けない事由と辞退の違い、評決と秘密の取扱いを確認する。

  • 裁判員制度を民事事件やすべての刑事事件へ広げず、対象の範囲を説明する
  • 裁判員6人・裁判官3人の原則と4人・1人の特則を区別する
  • 選任資格、欠格・就職禁止、不適格、辞退という別の条件を整理する
  • 法令の適用と解釈、評決の人数と構成、守秘義務と経験の感想を区別する

まず、全体をつかむ

裁判員制度:参加する事件・選ばれる人・辞退を分けるの全体図

要点を見渡してから、下の本文と具体例へ進みましょう。

裁判員制度:参加する事件・選ばれる人・辞退を分けるのページ要点の概観。教材の要約と全要点を原文で整理し、必要な成立要件・期間条件を補足する。詳しい条件・例外と根拠は本文で確認。上部右の作業着の人物は共通案内役。
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1.一定の刑事事件に、国民が裁判官と参加する

法律の読み方を表す本と拡大鏡のアイソメイラスト

裁判員制度は、国民から選任された裁判員が、裁判官と共に刑事裁判に参加する制度である。お金の返還などを争う民事裁判に一般に参加する制度ではない。 裁判員法2条1項は、地方裁判所で扱う対象として、死刑又は無期拘禁刑に当たる罪の事件と、裁判所法26条2項2号に掲げる事件のうち故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件を定める。後者からは前者に当たる事件を除く。単に重大そうに見えるか、死者が出たかだけで対象を決めない。 さらに3条・3条の2には、一定の危害のおそれや著しく長期にわたる審理などに関し、法定要件の下で裁判官の合議体で扱う決定をする規定がある。対象罪に当たれば例外なく裁判員が参加する、とまではいえない。

裁判員の参加する刑事裁判に関する法律裁判所:裁判員制度Q&A

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2.原則は裁判員6人・裁判官3人。判断の役割にも区別がある

国の制度を表す建物のアイソメイラスト

2条2項の原則は裁判員6人、裁判官3人で、裁判官の一人が裁判長となる。 ただし、公判前整理手続で公訴事実に争いがないと認められ、事件の内容その他の事情から適当な事件では、裁判所が裁判員4人・裁判官1人の合議体で扱う決定をできる。検察官・被告人・弁護人に異議がないことを確認し、裁判員等選任手続の期日までに決定するなど、2条3~5項の条件がある。自白があるだけで自動的に人数が減るわけではない。 6条は、対象となる判決等に関する事実認定・法令の適用・刑の量定を、裁判官と裁判員が共に判断するとする。一方、法令の解釈や訴訟手続に関する判断などは構成裁判官が行う。ただし、同条2項2号の訴訟手続に関する判断からは、少年法55条の家庭裁判所への移送の決定が除かれている。『法律の問題はすべて裁判員が関与しない』という整理も正しくない。

裁判員の参加する刑事裁判に関する法律裁判所:裁判員制度Q&A

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3.18歳以上という年齢だけで、選任が確定するわけではない

確認と復習を表すヘッドホンと時計のアイソメイラスト

13条は、衆議院議員の選挙権を有する者の中から、法の手続により裁判員を選任すると定める。現在は18歳・19歳の人も、他の法定要件を満たせば選任され得る。 裁判所の公式説明によると、年齢を18歳以上にする改正は2022年4月1日から施行され、18歳・19歳の人が実際に裁判員候補者名簿に載り、裁判員に選ばれ得るのは2023年分からである。選挙権年齢の話と名簿への適用時期を混ぜない。 市町村の選挙管理委員会が選挙人名簿から候補者予定者をくじで選び、地方裁判所が候補者名簿を作る。事件ごとの候補者の選定、選任手続を経て裁判員が選任される。名簿記載の通知が来ただけでは、特定事件の裁判員への選任はまだ確定していない。

裁判員の参加する刑事裁判に関する法律裁判所:裁判員の選任資格に関する法改正について裁判所:裁判員制度Q&A

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4.欠格・就職禁止と、その事件だけの不適格を分ける

法律の読み方を表す本と拡大鏡のアイソメイラスト

選挙権があっても、それだけで裁判員の職務に就けるとは限らない。14条には欠格事由、15条には就職禁止事由がある。例えば弁護士や司法書士は15条に列挙されている。職業名が法律に関係するという印象ではなく、条文の対象を確認する。 14条の義務教育未了という事由には、義務教育を終了した者と同等以上の学識を有する者を除く条件がある。心身の故障についても、職務の遂行に著しい支障があることが要件であり、障害があるというだけで一律に欠格としない。ここでは代表例を扱っており、14・15条の全事由を列挙したものではない。 17条は被告人や被害者、その親族など、当該事件との関係から裁判員になれない者を定める。18条には、裁判所が不公平な裁判をするおそれがあると認めた者に関する規定もある。一般の資格と、その事件との関係を別々に確認しよう。

裁判員の参加する刑事裁判に関する法律裁判所:裁判員制度Q&A

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5.辞退できることと、裁判員になれないことは違う

国の制度を表す建物のアイソメイラスト

16条は、一定の人が裁判員となることについて辞退の申立てをできると定める。例えば70歳以上の人は申立てができるが、年齢の上限として一律に職務を禁止する規定ではない。 学生・生徒については、同条3号が定める学校で、常時通学を要する課程に在学することという条件がある。裁判所Q&Aも、夜間の学校に通っているという事実だけでは辞退理由にならないと説明している。『学生』という肩書だけで広げない。 重要な仕事についても、単に仕事があることでは足りない。16条8号ハは、自分で処理しなければ事業に著しい損害が生じるおそれのある重要な用務という条件を置く。疾病、介護等の事情には法・政令の要件があり、具体的事情を申し出て裁判所が判断する。理由があると思っただけで呼出しを無視する仕組みではない。

裁判員の参加する刑事裁判に関する法律裁判所:裁判員制度Q&A

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6.評決は人数だけで決めず、終了後も秘密を守る

確認と復習を表すヘッドホンと時計のアイソメイラスト

67条1項は、裁判員の関与する判断について、構成裁判官と裁判員の双方の意見を含む合議体の員数の過半数の意見によると定める。有罪とするには、単に裁判員の賛成人数が多いだけでは足りず、裁判官の賛成も必要になる。 評議の経過、それぞれの裁判官・裁判員の意見やその多少の数は70条の評議の秘密に当たる。9条2項・108条等により職務上知り得た秘密も守る必要があり、役目が終われば自由に漏らせるわけではない。 裁判所Q&Aは、公開法廷で見聞きしたことや参加の感想を話すことと、守秘義務の対象を漏らすことを区別する。一般的な感想を話せることから、他の人の評議での発言まで公表してよいとはならない。また、裁判員等を特定する情報を公にする行為は101条の別の規制がある。秘密の取扱いと身分の公表を混ぜない。

裁判員の参加する刑事裁判に関する法律裁判所:裁判員制度Q&A

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要点の整理

要点の確認

  • 裁判員制度は一定の刑事事件が対象。原則の合議体は裁判員6人・裁判官3人。
  • 選任資格は衆議院議員の選挙権が入口。18歳・19歳も他の要件を満たせば選任され得る。
  • 欠格・就職禁止・事件の不適格と、辞退の申立てができる事由を分ける。
  • 有罪判断には裁判官と裁判員双方を含む過半数が必要。評議等の秘密は終了後も守る。

オリジナル確認問題と解説

過去問論点に基づくオリジナル確認問題

実際の過去問本文の転載ではありません。理由を考えてから、正解と解説を確認してください。解答を記録する場合は学習アプリで解くこともできます。

  1. 問1 · ○か×か

    裁判員制度は、貸金返還を求める通常の民事訴訟についても、原則として裁判員が参加する制度である。

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    × 誤り

    裁判員制度は、裁判員法2条等が定める一定の刑事事件を対象とする。通常の貸金返還の民事訴訟に一般に参加する制度ではない。

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  2. 問2 · ○か×か

    裁判員の参加する合議体は、事件の事情や裁判所の決定にかかわらず、必ず裁判員6人・裁判官3人で構成される。

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    × 誤り

    6人・3人が原則だが、2条3~5項の条件を満たして裁判所が決定する場合には、裁判員4人・裁判官1人の特則がある。

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  3. 問3 · ○か×か

    現在は18歳・19歳の人も、選任資格など他の法定要件を満たせば、裁判員に選任され得る。

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    ○ 正しい

    13条は衆議院議員の選挙権を有する者を入口とする。年齢に関する改正の施行は2022年4月1日、18歳・19歳の人の名簿への適用と選任の可能性は2023年分からである。

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  4. 問4 · ○か×か

    弁護士は、衆議院議員の選挙権があれば、裁判員の職務に就くことができる。

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    × 誤り

    15条1項6号は弁護士及び弁護士であった者を就職禁止の対象としている。選挙権があることだけで職務に就けるわけではない。

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  5. 問5 · ○か×か

    70歳以上の人は、本人が参加を希望しても、年齢だけを理由に必ず裁判員になることができない。

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    × 誤り

    70歳以上は16条1号の辞退を申し立てられる事由であり、年齢の上限として一律に職務を禁じるものではない。他の法定要件は別に確認する。

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  6. 問6 · ○か×か

    夜間の学校に通っているという事実だけで、16条3号の学生・生徒の辞退事由に必ず該当する。

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    × 誤り

    同号は法定の学校で常時通学を要する課程に在学する者という条件を置く。裁判所Q&Aも、夜間の学校に通っているというだけでは辞退理由にならないと説明する。

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  7. 問7 · ○か×か

    裁判員法6条は、裁判員が関与する法令の適用と、構成裁判官が行う法令の解釈に係る判断を区別している。

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    ○ 正しい

    事実認定・法令の適用・刑の量定は同条1項の共同判断であり、法令の解釈や訴訟手続に関する判断などは2項で構成裁判官の判断とされる。ただし、同項2号は少年法55条の家庭裁判所への移送の決定を除いている。

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  8. 問8 · ○か×か

    原則の9人の合議体で、裁判員6人全員が有罪、裁判官3人全員が無罪と考える場合、裁判員6人だけの意見で有罪とすることができる。

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    × 誤り

    有罪判断には、構成裁判官と裁判員の双方の意見を含む合議体の過半数が必要である。裁判員だけで人数の過半数を占めても足りない。

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根拠・参考資料

  • 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律第1条、第2条第1~5項、第3条・第3条の2、第6条、第9条第2項、第13~18条、第21・23・26・27・37条、第67条第1項、第70条、第101・108条。欠格等は例示、量刑の意見集約などの詳細は本稿の対象外確認日 2026-10-23
  • 裁判所:裁判員制度Q&A対象事件・人数、裁判員になれない場合、裁判員候補者名簿の通知、70歳以上・学生・夜間通学、守秘義務と感想、裁判員等を特定する情報の公表に関する各問答確認日 2026-10-23
  • 裁判所:裁判員の選任資格に関する法改正について本文及び注。2022年4月1日の施行と2023年分名簿・2023年1月1日以降の選任可能性を区別確認日 2026-10-23

法令内容の確認基準日:

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