行政書士試験 · 行政法

行政罰:科料・過料・課徴金を分ける

行政罰:科料・過料・課徴金を分ける|行政書士試験・行政法

同じ金銭負担でも、根拠・決める人・手続が違う

科料は刑罰、秩序罰としての過料は刑罰ではない。過料は裁判所の手続(特則・略式あり)と地方公共団体の長の処分を分ける。課徴金は個別法、代執行費用は義務の実現に伴う負担として確認する。

読む目安16分 · 確認問題6問 · 法令等の確認日

AI制作・根拠照合済みの学習用草稿

2027年度の試験日・法令基準日は未確定。2026年10月28日の現行法を照合したAI教材草稿で、専門家監修の認定ではない。2025年度試験の法令基準日である2025年4月1日と現行法を分け、受験年度の公示後に再照合する。

この記事でわかること

科料は刑罰、秩序罰としての過料は刑罰ではない。過料は裁判所の手続(特則・略式あり)と地方公共団体の長の処分を分ける。課徴金は個別法、代執行費用は義務の実現に伴う負担として確認する。

  • 科料と過料を、読み方や金額だけでなく法的性質で区別する
  • 過料の裁判所の手続と地方公共団体の長による処分を分ける
  • 独占禁止法の課徴金を具体例に、命令者・対象・算定根拠を探す
  • 違反への制裁と、代執行による義務の実現・実費の徴収を区別する

まず、全体をつかむ

行政罰:科料・過料・課徴金を分けるの全体図

要点を見渡してから、下の本文と具体例へ進みましょう。

行政罰:科料・過料・課徴金を分けるのページ要点の概観。教材の要約と全要点を原文で整理し、必要な成立要件・期間条件を補足する。詳しい条件・例外と根拠は本文で確認。上部右の作業着の人物は共通案内役。
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1.違反への罰と、義務を代わって実現することを分ける

書類を確認する行政窓口のアイソメイラスト

行政法上の義務違反に対する罰を、学習上、行政罰として整理する。そのうち刑罰を用いるものが行政刑罰、刑罰ではない過料によるものが秩序罰である。ここでは秩序罰としての過料を扱い、課徴金は別の金銭的不利益の制度として確認する。 一方、行政代執行法2条は、他人が代わってできる行為義務を履行しない場合に、行政庁等が代わって行い、費用を義務者から徴収する仕組みである。不履行だけで足りず、他の手段による履行確保が困難で、放置が著しく公益に反すること等の要件がある。5条の費用納付命令は実際に要した費用に関するもので、違反への罰金を決める規定ではない。

出入国在留管理庁:罰則について(2020年2月17日・専門部会資料3)行政代執行法公正取引委員会:課徴金制度

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2.科料は刑罰。過料とは漢字も性質も違う

法律の読み方を表す本と拡大鏡のアイソメイラスト

刑法9条は、罰金と科料を刑の種類に挙げている。15条の罰金は原則1万円以上だが、減軽する場合には1万円未満にできる。17条の科料は千円以上1万円未満である。したがって、金額だけで名称を決めるのではなく、根拠条文が罰金・科料・過料のどれを定めているかを読む。秩序罰としての過料は、刑罰である科料とは異なる。 行政刑罰にも、原則として刑法総則が適用される。8条は他の法令の罪にも総則を適用しつつ、その法令の特別規定を除くとしている。38条1項も、罪を犯す意思がない行為は罰しないという原則と、法律に特別の規定がある場合の例外を置く。『行政上の違反だから故意はいつも不要』とはいえない。 現行9条の刑名には拘禁刑がある。懲役・禁錮を廃止して拘禁刑を創設したのは2025年6月1日である。2025年度行政書士試験の法令基準日は同年4月1日だったため、当時の条文の懲役・禁錮と、現在の条文を区別する。過去問の基準日を現在の刑名で上書きしない。

刑法(現行)出入国在留管理庁:罰則について(2020年2月17日・専門部会資料3)法務省:拘禁刑下の矯正処遇等について刑法(2025年4月1日の試験基準日に施行されていた旧版)沖縄県:令和7年度行政書士試験の実施について

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3.裁判所の過料手続は、原則と略式を分ける

国の制度を表す建物のアイソメイラスト
過料の手続の入口例。裁判所の非訟手続では原則と略式を分け、略式裁判への異議は告知から1週間の不変期間。普通地方公共団体の長による過料処分では事前告知と弁明の機会を確認する。個別法の特則と詳細は本文・原典で確認。
過料の手続:2つの入口例

非訟事件手続法119条は、過料についての裁判の手続に係る非訟事件を対象にする。他の法令に特別の定めがある場合を除き、当事者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が扱う。これは『すべての過料は必ずこの裁判所が科す』という説明ではない。 120条では、裁判に理由を付け、あらかじめ検察官の意見と当事者の陳述を聴くのが原則である。同条の裁判に対して即時抗告できるのは当事者と検察官であり、過料の裁判に対する即時抗告には執行停止の効力がある。121条では、過料の裁判は検察官の命令で執行する。 ただし122条には略式手続がある。裁判所が相当と認めるときは、当事者の陳述を聴かずに裁判できる。その裁判に対し、当事者と検察官は告知を受けた日から1週間の不変期間内に異議を申し立てられる。適法な異議があれば、裁判所は当事者の陳述を聴き、改めて過料について裁判する。原則の即時抗告と、略式裁判への異議を混ぜない。

非訟事件手続法東京地方裁判所:過料決定についてのQ&A

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4.地方公共団体の長がする過料処分は、別の手続

書類を確認する行政窓口のアイソメイラスト

地方自治法14条3項は、法令に特別の定めがあるものを除き、条例違反について、同項に列挙された範囲の拘禁刑・罰金等の刑又は5万円以下の過料の規定を条例に設けられるとする。15条2項では、法令に特別の定めがあるものを除き、規則違反について規則に定められるのは5万円以下の過料である。条例と規則で認められる範囲を同じにしない。 255条の3は、普通地方公共団体の長が過料の処分をしようとする場合、相手にあらかじめその旨を告知し、弁明の機会を与えなければならないと定める。前の節の裁判所の非訟手続とは別の分岐である。どの過料でも非訟事件手続法の略式手続で処理できる、と読み替えてはいけない。

地方自治法非訟事件手続法

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5.課徴金は、個別法の対象・命令者・算定根拠を読む

法律の読み方を表す本と拡大鏡のアイソメイラスト

課徴金という名称を見ても、科料や過料と同じ制度に入れない。例えば独占禁止法の課徴金は、カルテル・入札談合等の違反行為防止という行政目的のため、公正取引委員会が対象の違反事業者等に金銭的不利益を課す仕組みである。7条の2第1項等が定める対象・要件に従い、国庫への納付を命じる。 金額も、利益の全額をそのまま返すと決めつけない。同法は売上額等を用いる算定の仕組みを定めている。また7条の7は、7条の2第1項の場合に同一事件について当該事業者への罰金の確定裁判があるときの控除や、課徴金の納付を命じない場合を定める。ここでの調整を、他の法律の課徴金にも当然に当てはめることはできない。 まず『どの法律の、どの行為に、誰が、どういう手続・算定根拠で命じるか』を確認する。この教材は独占禁止法の例を入口にしたもので、全課徴金の計算や、刑罰との併用についての憲法上の判断を一括して結論づけるものではない。

私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律公正取引委員会:課徴金制度

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要点の整理

要点の確認

  • 科料は刑罰、秩序罰としての過料は刑罰ではない。罰金には減軽の規定もあるため、金額だけで名称を決めず、根拠条文と性質を確かめる。
  • 過料の裁判所手続は、他法令の特則を除き119条の地裁管轄。陳述聴取の原則と、相当と認める場合の略式・異議の手続を分ける。
  • 普通地方公共団体の長が過料処分をしようとする場合は、事前告知と弁明の機会が必要。裁判所の略式手続と同じ分岐にまとめない。
  • 独占禁止法の課徴金は、公正取引委員会が個別法の対象・要件に従って命じる。他法へ同じ算定を広げず、代執行による実費の徴収とも区別する。

オリジナル確認問題と解説

原典の区別を確かめるオリジナル確認問題

実際の過去問本文の転載ではありません。理由を考えてから、正解と解説を確認してください。解答を記録する場合は学習アプリで解くこともできます。

  1. 問1 · ○か×か

    行政代執行法5条によって実際に要した撤去費用の納付を命じることは、違反者に科料という刑罰を科すことである。

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    × 誤り

    代執行の実費徴収は、義務を代わって実現したことに伴う費用負担である。刑罰である科料を科すこととは、根拠も性質も異なる。

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  2. 問2 · ○か×か

    刑法9条に挙げられている科料は刑罰であり、秩序罰としての過料とは区別する。

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    ○ 正しい

    科料は刑法9条の刑の種類に含まれる。一方、秩序罰としての過料は刑罰ではない。同じ読み方でも、漢字と根拠規定を区別する。

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  3. 問3 · ○か×か

    行政刑罰では、根拠法に特別の規定があるかどうかに関係なく、罪を犯す意思の有無を一切確認する必要がない。

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    × 誤り

    刑法8条は他の法令の罪への総則適用と特則を定め、38条1項は故意の原則と法律上の例外を定める。行政上の義務違反というだけで、常に故意不要とはいえない。

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  4. 問4 · ○か×か

    非訟事件手続法122条では、裁判所が相当と認めるとき、当事者の陳述を聴かずに過料について裁判する略式手続が認められている。

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    ○ 正しい

    122条1項は、当事者の陳述を事前に聴く120条2項の例外を定める。略式裁判には、告知を受けた日から1週間の不変期間内の異議と、適法な異議後に陳述を聴いて改めて裁判する手続がある。

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  5. 問5 · ○か×か

    普通地方公共団体の長が過料の処分をしようとする場合、地方自治法255条の3は、相手への事前告知と弁明の機会を要求する。

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    ○ 正しい

    255条の3は、処分を受ける者にあらかじめその旨を告知するとともに、弁明の機会を与えるよう定める。裁判所の非訟手続と、この長による処分を混ぜない。

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  6. 問6 · ○か×か

    独占禁止法に課徴金と罰金の調整規定があれば、他の法律の課徴金にも、当然に同じ調整を適用できる。

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    × 誤り

    7条の7は独占禁止法7条の2第1項の場合について定める法定調整である。別の法律の課徴金は、その法律の対象・要件・算定根拠や調整規定を確認する。

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根拠・参考資料

法令内容の確認基準日:

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