行政書士試験 · 商法・会社法
役員等の責任と株主代表訴訟:誰への損害か

会社の損害、第三者の損害、会社のための提訴を分ける
任務懈怠による株式会社への責任、悪意・重大な過失がある場合の第三者への責任を区別する。株主が会社のために提訴する責任追及等の訴えは、保有期間・事前請求・60日と例外を整理する。
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この記事でわかること
任務懈怠による株式会社への責任、悪意・重大な過失がある場合の第三者への責任を区別する。株主が会社のために提訴する責任追及等の訴えは、保有期間・事前請求・60日と例外を整理する。
- 423条と429条の責任の相手方・要件を区別する
- 責任免除の原則と一部免除の例外を理解する
- 株主代表訴訟の6か月・60日と例外を説明する
1.423条:任務懈怠により生じた会社の損害

会社法423条1項は、取締役、会計参与、監査役、執行役、会計監査人である役員等が任務を怠ったとき、株式会社に対し、それによって生じた損害を賠償する責任を定める。損害を受けた主体は会社であり、株主個人と混同しない。結果として業績が悪かっただけで直ちに責任が自動確定するとは考えず、任務懈怠と損害、その結び付き等を検討する。424条は免除に総株主の同意を求め、425条は善意・重過失なし等の条件の下で一部免除を認める。
2.429条:職務について悪意・重過失がある場合の第三者責任

429条1項は、役員等が職務を行うについて悪意または重大な過失があるとき、それによって第三者に生じた損害を賠償する責任を定める。423条の会社への責任と、請求する相手・損害の帰属・要件を区別する。会社に借金がある、役員が肩書を持つという事情だけで、役員個人がすべてを当然に返済する規定ではない。429条2項には募集資料や計算書類等の虚偽記載等に関する別の責任規定もあるので、1項の説明だけで全体を言い切らない。
3.株主代表訴訟:会社のために追及する。6か月・60日の役割

847条の責任追及等の訴えでは、要件を満たす株主がまず会社へ書面等で提訴を請求する。公開会社では原則6か月前から引き続く株式保有が必要で、定款で短縮できる。非公開会社にはこの継続保有期間の要件がない。会社が請求から60日以内に提訴しないと、請求した株主が会社のために提訴できる。待つことで会社に回復不能な損害のおそれがある場合は直ちに提訴できるが、不正な利益を図る等の目的は排除され、単元未満株主の扱い等も確認する。
要点の整理
要点の確認
- 423条は会社への任務懈怠責任、429条1項は悪意・重過失による第三者責任。
- 株主としての責任と、役員としての責任は別。
- 代表訴訟は株主が会社のために追及する制度。
- 原則6か月の保有と請求後60日を区別し、非公開会社等の例外を見る。
オリジナル確認問題と解説
オリジナル確認問題
実際の過去問本文の転載ではありません。理由を考えてから、正解と解説を確認してください。解答を記録する場合は学習アプリで解くこともできます。
問1 · ○か×か
会社法423条1項は、役員等の任務懈怠によって株式会社に生じた損害に関する責任を定める。
問2 · ○か×か
株式を保有する取締役には、株主の有限責任があるため、役員としての任務懈怠責任は一切生じない。
問3 · ○か×か
429条1項による役員等の第三者責任では、職務を行うについて悪意または重大な過失があったこと等が要件となる。
問4 · ○か×か
公開会社の847条1項の継続保有期間は原則6か月で、定款でこれを短縮することができる。
問5 · ○か×か
株主代表訴訟は、株主が会社のために役員等の責任を追及する仕組みである。
問6 · ○か×か
847条は、60日を待つことで会社に回復不能な損害が生じるおそれがある場合も、必ず60日の経過まで提訴を禁じる。
根拠・参考資料
- 会社法:役員等の会社に対する責任・免除第423条第1項・第424条・第425条確認日 2026-10-23
- 会社法:役員等の第三者に対する責任第429条第1・2項確認日 2026-10-23
- 会社法:株主による責任追及等の訴え第847条第1~5項確認日 2026-10-23
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